20代の頃、表したいことを表せない自分が悔しくて、
不甲斐なくて、恥ずかしくて、
そしてそれを言葉にできないことがもどかしくて、
人の前で泣いたことがあります。
その時、とある有名な作家の方が、
無言でラップサンドを作って、わたしに手渡してくれました。
わたしが不十分だということも、
未熟だということも、すべて分かっているけれど、
何も言わないで、ラップサンドをくるくる巻いてくれたのです。
大学を卒業してから15年が経ちます。
もう15年も経ってしまった。
その間に亡くなった恩師たちに
恩返しもできずに、大変な不義理をした、と、
今も後悔しています。
15年の間、家族の死を経験し、
わたし自身も病気を経験し、ここに書き尽くせないほど、
辛いこともありました。
それでも、起き上がって、やっぱり絵を描こう、と
絵筆を手に取り、描いてきたことを
今は幸せに思っています。
ぜひ、4月の個展で実物をご覧ください。
いつかわたしも、
誰かに無言でラップサンドを
くるくる巻いてあげられるように
そんな日が来るように、何度も、何度も、描き続けます。
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